『「懐かしドラマ」が教えてくれるシナリオの書き方』の書評

『「懐かしドラマ」が教えてくれるシナリオの書き方』(浅田直亮、仲村みなみ著)

表紙 タイトル

ここでは、浅田直亮(なおすけ)氏と仲村みなみ氏の共著になります『シナリオの書き方』のご紹介をします。

浅田直亮氏は、フジテレビ系『八丁堀捕物ばなし』シリーズの『おとうと』でシナリオライターとしてデビューされ、現在(2016年)は、シナリオセンターの講師として活躍されています。

一方、仲村みなみ氏は、講談社「mimi」マンガ原作コンクール大賞や「BE LOVE」原作大賞を受賞されており、こちらの方も現在(2016年)は、シナリオセンターの講師として活躍されています。

本書では、「8日間でシナリオが書けるようになる」というキャッチフレーズが掲げられ、杉山さんという架空の人物に著者が語りかけるというスタイルでアドバイスが進行します。

 

章立ては次の通りです。

STEP1 “お気楽流”主人公のつくり方
STEP2 主人公を動かす「困ったちゃん」
STEP3 ストーリーを考えるな!
STEP4 とにかく書き始めよう!
STEP5 インパクトある「出だし」から、ぐいぐい引っ張るワザ
STEP6 ハラハラ・ドキドキは、スポーツ中継に学ぼう!
STEP7 パクろう!
STEP8 ラストの戦略
STEP9 いまさらだけど、「シナリオってなんだ?」

 

『「懐かしドラマ」が教えてくれるシナリオの書き方』の概要

本書を通読すると、シナリオ未経験者であってもシナリオが身近に感じられ、こんなに簡単に作れるんだ、と思わせてくれる内容に仕上がっています。

ただ、引き合いに出されるテレビドラマが結構古いので、過去のテレビドラマ(60年代~2000年代の作品)をあまり見ていないという方には、ちょっと理解しにくい点があるかもしれません。

まず、本書では、作品のテーマをあれこれ考えるより、先に主人公の職業を決めてしまうことが勧められています。そして、その主人公に「困ったちゃん」をぶつけることによって主人公を動かすというわけです。

ここで言う「困ったちゃん」というのは、主人公が苦手だと思う人や主人公を困らせる人のことです。

さらに、ストーリーは、前もってあれこれ考えるより、主人公が最終的にどうなるかだけを決めておいて、後は、主人公を自由に動かしていけばいいと、アドバイスされています。

そして、感動するラストの法則として、「Sの法則」が詳しく解説されています。ここでの「S」とは、サスペンスとサプライズを意味します。

他に、本書では、シナリオの書式についても述べられています。シナリオには、小説などと違って独特の書式があります。

例えば、撮影場所を指定する柱(はしら)では、最初に○を書くことや、情景や人物の動作、置物などを指定するト書では、3マス下げて書くこと、セリフは一番上から人物名を書くことなど、基本的な書き方についても解説されています。

また、ワープロソフトを使う際には書式のスタイル機能を使えば便利に書けることや、印刷の際には原稿用紙のマス目を印字しない、便利なエディタソフトとしてO's editoor2があることなども紹介されています。

基本から応用まで、かなり内容的に濃いものが詰まった指南書になっています。これ一冊でも、シナリオに関する手法がかなり身に付くと思います。

ただ、著者もアドバイスしていますが、プロになるつもりなら、シナリオに関するスクールや通信講座で基礎をみっちり学ぶ必要がありそうです。というのも、プロになれば、相手の希望にあわせた作品が書けなくてはならないからです。