『ケータイ小説書こう』の書評

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『ケータイ小説書こう』(内藤みか著)

タイトル
ケータイ小説書こう

ここでは、内藤みか氏によります『ケータイ小説書こう』のご紹介をします。

本書では、プロのケータイ小説家という立場から、ケータイ小説の書き方、その心構え、さらには、投稿した後のアクセスアップの方法など、極めて示唆に富んだ内容が公開されています。

「ケータイ小説に挑戦しようかな・・・」と思っている方にとって、嬉しいアドバイスのオンパレードです。本書を読んでいる方と、読んでいない方とでは、随分と差が開いてしまうかもしれません。

 

本書の章立ては、次の通りです。

プロローグ 今、ケータイ小説が面白い!
第1章 ケータイ小説の世界をのぞいてみよう
第2章 まずは、「読者」になってみる
第3章 ケータイ小説サイトに登録する
第4章 「タイトル」と「最初の1行」が大事!
第5章 「キャラクター」をつくってみよう
第6章 ストーリーをつくってみよう
第7章 最後まで書き上げるには?
第8章 完成したら、やっておきたいこと
第9章 長く書き続けるには?

 

『ケータイ小説書こう』の概要

ここでは、ケータイ小説の文章術に関して述べられている第4章から第6章を中心にご紹介します。

まず、第4章では、作品のタイトルの付け方と書き出しの注意点について解説されています。

タイトルは、原則として10文字以内にまとめることが勧められています。というのも、これがケータイ画面の1行だからです。これを越えてしまうと2行になってしまい、ランキングに掲載されたとき、最後まで表示されないという事態になってしまうのです。

著者が掲げる“タイトルづけの5大原則”は次の通りです。

  • 大原則1 10文字以内
  • 大原則2 小説の内容を漂わせる
  • 大原則3 カタカナにすると、ケータイ風になる
  • 大原則4 言葉をなくべく簡潔に
  • 大原則5 難しい漢字は避ける!

 

さらに、ケータイ小説では、書き出しの1行目が勝負だと言います。ここで、「おっ!」と思わせることに成功すれば、続けて読んでもらえるというわけです。

そのためには、主人公の動きや感情からスタートさせ、読者に「何?」と思わせることがコツだと述べられています。

例えば、著者の『きみの名も知らない』という作品の書き出しは、「あの、僕、はじめてなんです」となっています。思わず、次の展開が気になってしまいますよね。

 

第5章では、登場人物に関するアドバイスがなされています。

一般的な小説と異なり、ケータイ小説の読者には、読むことに慣れていない「小説初心者」が多いということを忘れてはならない、と指摘されています。これは、大切なポイントです。

例えば、登場人物の数が増え過ぎると、書き手だけでなく、読み手もまた、こんがらがってしまうというわけです。したがって、初心者の場合、登場人物は4人ぐらいがいいのでは、と勧められています。

さらに、キャラクターに関しては、本文に書かないとしても、性格や家族構成など、細かくキャラクター設定をしておくと便利だと述べられています。

キャラクター設定をしっかりしておくと、事件が起きてピンチに陥ったときなど「こういう生い立ちで、こういう性格の人だったら、こういう行動をとるだろう」と、キャラクターが勝手に動き出してくれるのです。(p94)

そして、ヒロインに対して共感してもらえるかどうかが、最終的な作品の成否を分けることになりますので、この点に注意することが必要です。ここでは割愛しますが、本書では、共感してもらう書き方のルールも公開されています。

 

第6章は、ストーリーの作り方に関するアドバイスです。

ここでは、面白い指摘がなされています。従来の「起承転結」という構成スタイルは、昔のリズム感で、現在は違うと言うのです。

今の若者たちのリズム感は、レゲエやヒップホップに象徴されているというわけです。つまり、「起承転転転転結」や「起承転転転転・・・・」という展開こそ、彼らにとって心地よいリズムとなるようです。

そして、物語の作り方としては、物語の高低差を意識することが大切だといいます。「すごく悲しいこと」と「すごく嬉しいこと」の2本柱を明確にしながら、ストーリーを組み立てることが提案されています。

これは、高低差を表したグラフを用いて考えると、分かり易くなります。本書では、イラストも使いながら分かりやすく説明されています。

さすがに、いつも読者の視点を忘れずに執筆されている著者だけあって、楽しく、分かりやすく書かれています。普段、あまり本を読まないという方でも、安心して読めるように工夫されています。