ケータイ小説の書き方(6)― ストーリー構成

ストーリー構成

最近の小説は、従来の冗長(だらだらと長い)なストーリーは敬遠され、実にテンポ良く進むものが増えてきました。これは、おそらく現代という時代のスピード感が反映しているのでしょう。

こうしたスピード感が特に感じられるのが、テレビCMやテレビドラマです。CMの場合、15秒という時間枠の中で伝えたいことを凝縮しなければなりません。

さらに、その凝縮したCMが、15秒おきに全く異なる内容のCMへと繋がってゆくのです。これを違和感なく見続けることができるというのも不思議なことです。もし、百年前に生きていた人が現在のCMを見たら、頭が混乱してしまうかもしれません。

一方、テレビドラマでは、ほんの数分であっても、つまらない退屈なストーリーが展開し始めると、視聴者は遠慮なく他のチャンネルへと移ってしまいます。

従って、テレビでは、ドラマに限らずバラエティでも、途中から見てもすぐに入り込めるように構成が工夫されています。

さすがに、ケータイ小説を途中から読むという人は少ないと思いますが、読みかけたものの、途中で止めてしまったという経験を持っている方は多いと思います。

大部分の方は、最初の数ページを読んでみて、面白くなさそうだと感じると、すぐさま他の作品へと移ってしまうのです。特に、暇つぶし感覚で読んでいる人にとっては、当然のことでしょう。

ですから、ケータイ小説の書き手としては、こうした事情も踏まえて、読者の興味を途切れさせないストーリー構成を考える必要があります。

 

全体構成を考えておく

そのためには、書き出しのコツでも述べたように、まず読者を一気に作品の世界に引き込む必要があります。そして、その後は、読者を飽きさせないために事件やエピソードをリズムよく挿入することになります。

ただし、そうかといって、むやみに事件ばかり入れても、ストーリーがこんがらがってしまうので、適度に調節してください。

そのためには、最初にストーリー全体の構成を大まかに決めておくことが大切です。主人公が幸せに満ちている時と、悲しみに打ちひしがれている時を、どのような順番で、どの程度のレベルで表現するかを考えておくのです。

例えば、幸福度2レベル(平凡な日常)→不幸度3レベル(恋人の病気)→幸福度3レベル(名医との出会い)→不幸度4レベル(名医の裏切り)→幸福度5レベル(愛の奇跡)という具合にしようかなと、大まかに考えておくのです。

書きながら、途中でいろいろと変更する部分はでてくるでしょうが、大まかな構成だけでも、考えているのといないのとでは随分と書き易さが変わってきます。

少なくとも、途中で行き詰まってしまって書けなくなってしまうという事態だけは避けることが出来るでしょう。あとは、定期的な更新を心掛けて、あせらずマイペースで書き進めていくことです。

最初は、練習のつもりで楽しみながら書きましょう。実際、書き始めてみると、もっとこうしようとか、ああしようとかいろいろとアイデアが浮かんでくるでしょう。他の方の人気作品を読んでみるのも、刺激になっていいですよ。

*参考文献:『ケータイ小説書こう』(内藤みか著)