ケータイ小説の書き手
ここでは、どういった方々がケータイ小説を書いているかについて見てゆきましょう。
前頁では、ケータイ小説の中心読者層が10代から20代の若い女性だと述べましたが、これは、書き手に関しても言えることです。
というのも、ケータイ小説を読む女性たちが求めているのは、知的な刺激やアクションというより、優しくて共感できる純愛ストーリーだからです。どんな状況に陥っても純愛を貫く主人公の姿に、女性たちは共感し、喜びや悲しみを共にするのです。
こうした、純粋でストレートな感情を理解し表現するには、やはり、同世代の女性が適していることは間違いないでしょう。
作品の中で、読者が求める、純粋で繊細な感情をうまく表現できていなければ、たとえ書いたとしても、なかなか続けて読んでもらうまでには至りません。
読者の共感を得ること
もちろん、男性であってもベストセラーを生み出しているケータイ小説家はいます。そうした方は、例えば、ホスト経験者であったりと、何らかの点で、女性心理というものをよく知っている方々なのです。
結局、その作品がヒットするかどうかは、ひとえに、読者の共感が得られるかどうかにかかっています。登場人物に共感してもらえることができれば、人気は自然と高まってくるでしょう。
したがって、作品のジャンルも自然と恋愛系が中心となっています。他に、ホラーやミステリーとったジャンルも期待されている分野ですが、まだまだ少ない状況です。
ケータイ小説が登場してから10年以上経ち、プロのケータイ小説家として活躍している方も増えてきましたが、まだまだその数は少ないようです。出版業界としても、プロのケータイ小説家がもっともっと欲しいところなので、今後は、出版社の後押しもあって、次々と誕生することは間違いないでしょう。