ケータイ小説の書き方(2)― 読者との距離の取り方

読者との距離の取り方

先に、ケータイ小説を執筆するにあたってはケータイ小説特有の執筆ルールを理解しておく必要がある、と述べましたが、他にも知っておかなければならない大切な観点があります。

それは、ケータイ小説というものが携帯電話やスマホを介していることと密接な関係があります。つまり、通常の作家と比べてケータイ作家の場合、読者との距離が極めて近くなってしまうのです。したがって、読者との関係をうまく構築することが大切になります。

読者からの反応の中には、励ましや応援だけでなく、心無い中傷や批判が寄せられることもあります。こうした反響に対する心構えも準備しておく必要があるのです。

プロの作家であれば、当然、そうした批判に対して受けて立たなければなりません。しかし、これからケータイ小説を書こうする初心者にもこうした心構えが求められるのです。

というのも、「初めて小説を書きました」「まったくの素人なんです」といった言い訳が、なかなか通用しないからなのです。批判家たちは相手がプロであろうと素人であろうと関係なく痛いところをついてきます。しかし、それが作品を一般公開するということなのです。

特に、その作品が自らの体験に基づくものであった場合、自分の人生そのものが否定されてしまうように感じるため、ダメージも大きくなってしまうのです。しかし、批判に対しては、そうした考え方もあるんだなと、大きく構えて頂きたいと思います。

 

読者の声が執筆の励み

といっても、読者からの声は批判ばかりではありません。作品の出来が良ければ、それ以上に、励ましや応援のエールが届きます。

そうした読者の声は執筆の励みにもなるし、ケータイ作家の無上の喜びにも繋がるのです。こうした事実が、ケータイ小説ブームの本当の理由なのでしょう。

ケータイ小説を投稿していると、読者からストーリーに関する希望が寄せられることも少なくありません。絶対、ハッピーエンドにして欲しい、といった要望です。それを受けて、途中からストーリーを変更したという作家もいます。

こうした特徴を見ていると、ケータイ小説では、作家が一人で執筆しているというより、読者との共同作業で作品が創られているといった方が正しいのかもしれません。

※参考文献:『ケータイ小説家になる魔法の方法』(伊藤おんせん著)