ケータイ小説の書き方(1)― 特有の執筆ルール

ケータイ小説を書いてみよう

ケータイ小説は、文字通り携帯電話やスマホを通して読むことになるので、従来の紙媒体の小説と異なり、かなりの制約があります。まず、その表示画面の制限から長文は極力避ける必要があります。

さらに、改行を工夫し多用することによって、読み易くする必要があります。一方でこの手法は、行間に感情を込め、独特の間をつくるという新たな表現方法を生み出しました。

いま読んでおられるこの文章にしても、通常の紙媒体と比べると、改行を多用しています。読みやすさを追求する以上、避けては通れない手法だといえるでしょう。

ケータイ小説では、さらにこれ以上の工夫がなされています。

読みやすさを優先させるため、鍵カッコつきの会話文がその大部を占め、背景の説明等も簡略化され、短文で表現されることになります。しかし、こうした工夫が歯切れのよい文章、そして感情をストレートに伝える文章に繋がっているのでしょう。

したがって、ケータイ小説はあくまで携帯電話やスマホで読むことを前提にした作品であるため、書籍化された場合に気になる部分が出ることも仕方がないのかもしれません。

 

特有の執筆ルール

ここで、ケータイ小説の基本的な執筆ルールをまとめておきましょう。

◆ 執筆ルール

  • 改行を工夫し多用する。
  • 会話分を中心に生き生きとした文章を心掛ける。
  • 長文にならないよう注意する。
  • 漢字変換における誤字脱字に注意する。
  • 擬音や鍵カッコ、絵文字の使い方を工夫し活かす。

携帯小説にチャレンジするには、こうした執筆ルールを理解した上で取り組む必要があります。後は、実際に人気のある作品をいくつか読んでみて、その魅力ある文体やストーリーを参考にしつつ、自分独自のオリジナルなスタイルを創ってみましょう。

注意点としては、執筆しやすいという理由から、パソコン上で執筆した作品を携帯サイトにアップロードしていると、思わぬ失敗をしてしまうことがあるということです。

パソコン上では非常に読みやすかった文章が、携帯画面上ではとても読めたものではない、ということがしばしばあります。くれぐれもご注意を!

※参考文献:『ケータイ小説家になる魔法の方法』(伊藤おんせん著)