執筆(4)― スリル溢れるストーリー

スリル溢れるストーリー作成のコツ

エンターテインメント作品にとって、スリリングなストーリー構成になっているかどうかということは、極めて重要な問題です。

人気のある作品では、大抵、手に汗握るストーリーが展開しています。つまり、作品の成否は、いかにスリル溢れるストーリー展開になっているか、というところに掛かっているようです。

それでは、どうすればスリルあるストーリーが描けるのでしょうか? 実は、これには簡単なコツがあります。それは、主人公をピンチに陥れるということです。

これは、人気作品に共通したパターンとも言えます。そこでは、主人公がとんでもないピンチに陥りながらも、必ず、そのピンチを乗り越えるという場面が繰り返し出てきます。

あるピンチを乗り越えたかと思うと、次に、さらに大きなピンチが主人公を襲います。こうして、様々なピンチを乗り越える過程で、主人公や仲間が成長し、友情が深まってゆくというパターンです。

つまり、著者にとって腕の見せ所というのは、そうしたピンチの場面をどのように設定し、それを、主人公にどうやって乗り越えさせるかというところにあるのです。

 

ピンチを乗り越えるために悪戦苦闘する

ピンチに陥るキッカケとしては、病気やトラブル、天災、ライバルの出現など、様々なパターンがあります。しかし、何れの設定をするにしても、そのピンチが簡単に乗り越えられるようなものでは、全くスリルは生まれません。

これは、言い換えると、主人公にとって都合のいい状況設定になっていないかということになります。例えば、主人公に恋のライバルが現れるという設定で、そのライバルの性格や容姿、あるいは学力が主人公より若干劣るという設定にすれば、容易にそのピンチを乗り越えることができます。

しかし、それでは面白くとも何ともありません。ところが、明らかに、ライバルのほうが、あらゆる面で主人公より優れているという設定にすると、ちょっとやそっとではそのピンチを乗り越えられそうに思えません。しかし、そうした事態になってはじめて、読者はどうなるんだろうかと、スリルを味わうわけです。

著者自らが、主人公にどうやってこのピンチを乗り越えさせようかと、悪戦苦闘しながら考えるような展開でない限り、決してスリリングなストーリーは生まれないのです。

つまり、主人公を待ち受ける障害が、現在の主人公の実力より少し上になるように設定するのです。そして、主人公に知恵や勇気の限りを尽くさせて戦わせるのです。その際、ライバルの行動に手加減をしてはいけません。

まさに、双方に死闘を繰り広げさせるのです。そのためには、著者自らが主人公になりきったり、ライバルになりきったりして戦う必要があります。こうして初めて、スリリングな展開になるのです。

※参考文献:『マンガを読んで小説家になろう!』(大内明日香、若桜木虔著)