執筆準備(2)― プロットの作成

プロット作成の重要性について

さて、執筆を始めるにあたって、その前にしておくべき大切なことがあります。それが、“プロットの作成”と呼ばれるものです。プロットの作成とは、要するに作品の構成をどのようにするかを決定する作業です。

その作品が小説であれば、ストーリー構成を考えるということになるし、ノンフィクション系の作品であれば、その論理展開を考えるということになります。

もちろん、一部の作家が言うように、小説では作中の登場人物たちが著者の考えとは別に、独立した意思を持ち始めて、思いもよらぬストーリーが展開することもあるでしょう。こうしたことはインスピレーション型の作品ではよくある現象かもしれません。

しかしながら、こうした可能性があるにしても、基本としては、しっかりと事前に作品の構成を考えておくべきです。執筆経験の少ない初心者が、いきなりインスピレーションに頼った作品を手がけたために、独りよがりな作品になってしまった、ということはよくあることです。

それでは、作品の構成、つまりプロットの作成はどのようにすれば良いのでしょうか? これについては、文章術のプロたちによるさまざまなアドバイスもあります。

当ホームページでは、プロット作成に関する指南書のご紹介もしていますので、詳しくはそちらをご覧下さい。

 

「起・承・転・結」による構成

ここでは、もう少し一般的な手法について述べておきましょう。

文章の基本としては、従来より、起・承・転・結で構成するのが良いといわれています。必ずしもこれにこだわる必要もないのですが、この流れで構成を考えると作品をまとめやすいという利点があります。

この方法では、「転」の部分に著者独自のオリジナリティーが現れることになります。

「起」に始まったストーリーが「承」によって展開し、「転」によってその流れが著者の意図する方向へと変えられるのです。そして、「転」から「結」へと著者の考える結末や結論へと導かれます。

逆に言えば、「転」の部分がありきたりで、つまらないものであれば、その作品自体もつまらないものになってしまいます。ですから、この「転」の部分のアイデアに特に注力することが重要です。

さらに、最初の「起」の部分も押さえておくことが大切です。ここでは、一気に読者を作品の世界に引き込みたいものです。これに失敗すると、最初の数ページで読者に見放されてしまう可能性が高いといえるでしょう。

ですから、一口にプロットの作成と言っても、決して疎かにできない重要な作業であることがわかるでしょう。この段階で失敗してしまうと、執筆段階でどれほど文章力を駆使して補おうとしても限界があるのです。

一方、後からプロットを変更しようとすると、非常に手間が掛かり、それまでに費やした多大な時間や労力が無駄になってしまいます。ですから、プロットの作成にあたっては、充分に時間をかけても決して無駄にはならないでしょう。

他に、KJ法を使ったプロットの作成法もありますが、これに関してはまた機会があれば触れることにしましょう。