公募の選び方(2)― プロを目指すなら、一流文学賞を!

文学賞や新人賞のレベルの選択

次に、ジャンルとは別に、その文学賞のレベルに関する問題があります。つまり、入選しやすいマイナーな文学賞に挑戦すべきか、あるいは可能性は低くてもメジャーな文学賞に挑戦すべきかという問題です。

これは、やはり自分自身の人生目標と関係してくると思います。もし、趣味として執筆を続けようと考えているなら、まずマイナーな文学賞であってもいいから入選を目指すべきでしょう。作家としての自信にもつながるし、喜びにもつながります。そして、長期的な成功を目指せばいいのです。

しかしながら、もしプロの作家を目指すのであれば、やはり一流の文学賞の入選を目指すべきでしょう。一流の文学賞であれば、二次選考に残ってもそれなりの宣伝力が生まれます。

ところが、二流の文学賞であればいくら入選したと言っても、「ああ、そうですか。よかったですね」で終ってしまいかねないのです。

仮にその作品が一流の文学賞で通用するだけの内容であったとしても、受賞した文学賞に見合った評価しか得られないのです。作家としての宣伝効果を考えると、やはり厳しくとも最短距離を目指すほうが得策ではないかと思います。

もっとも、その分、落選というリスクが伴うことは当然です。ですから、本気で作家を目指す方でないかぎりは、無謀な挑戦といえるのかもしれないのですが…。

 

短編に挑戦すべきか、長編に挑戦すべきか?

さらに、文学賞のレベル以外に、短編に挑戦すべきか長編に挑戦すべきかという選択肢もあるでしょう。もちろん、苦もなく長編を書けるだけの実力があれば迷うこともないでしょうが、いきなり長編を書くだけの勇気もないし…という場合に、とりあえず短編で実力を試してみようかとつい考えがちです。

しかし、これも先のケースと同様に、編集者というものは即戦力のある作家を探しているもので、短編小説というものはなかなか売れないため、長編の書ける作家をどうしても選んでしまうのです。

したがって、自分は短編でも長編でも書けるんだということをアピールするために書く場合はともかく、いずれ長編をと考えているのであれば、やはり、最初から長編作品に挑戦した方が良いのではないかと思います。

以上、縷々述べてきましたが、成功への道は必ずしも一つとは限りませんので、上述したルートとはまた違った道があるかもしれません。ですから、こうした考え方もあるのか、という程度に受け止めて頂ければと思います。

※参考文献:『小説新人賞は、こうお獲り遊ばせ』 (奈河静香著)