冒頭(書き出し)とエンディングの工夫

書き出しとエンディング

書き出しが勝負

これは、童話に限ったことではありませんが、物語の冒頭(書き出し)というのは非常に重要です。ここで、子供たちの心をグッと掴むことができれば、後が非常に楽になります。

そのためには、冒頭からいきなり人物説明や背景説明を長々としないことです。そうした内容は、短く簡潔に表現したり、会話文の中にさりげなく入れたりすることで、違和感なく読者に伝えることができます。

また、会話文を使った冒頭では、生き生きとしたセリフを使うことがポイントです。登場人物の心の叫びのような言葉が出てくると、思わず物語の世界に引き込まれてしまうでしょう。

そして、地の文(会話以外の文)も含めて、全体的にセンテンス(一つの文章)が長くなりすぎないように注意しましょう。センテンスが長くなると、どうしてもリズム感が悪くなり、子供たちにとって読みにくく、理解しにくい作品になってしまいます。

エンディングはさりげない余韻を

一方、エンディングは、ありきたりな落ちにならないように注意することが大切です。例えば、よく有りがちなのが、主人公が幻想的な楽しい冒険をした後で、実は全部夢でした、というパターンです。読者も、またかと思ってがっかりしてしまいます。ひどい場合には途中で気付いてしまったりもします。

そうならないためにも、子供たちの豊かな発想のさらに上を行くような意外な結末を考えたり、余韻を残しながらのエンディングとなるよう、様々な工夫を凝らしてみましょう。

物語というのは、主人公たちの人生を最初から最後までを全て描くわけではありません。その人生の一部を切り取って描いたものなのです。ですから、物語が終った後も、さらに物語が続いているはずです。

ですから、子供たちが「この物語の続きはどうなるんだろう?」と想像を膨らませるようなエンディングであれば理想的です。もちろん、だからといって、わざと途中で話をぶち切ってはいけません。さりげなく余韻を残しながら終るようにしましょう。

この余韻が、子供たちにもう一度この作品を読んでみたい、と思わせるのです。文学独特の心地よくて名残惜しい感覚を、是非、子供たちにも味わってもらいたいものです。